After Effects 完全手順マニュアル|標準機能+無料の分解スクリプト・有料プラグイン0個 文字が風に舞うアニメの作り方

MVでよく見る「文字が紙切れみたいにバラけて風に飛ばされる」演出を、After Effectsを触ったことがない人でも作り切れるように書いたマニュアルです。画面写真はすべて、この手順どおりに実際のAEで組んだ実物です。分解スクリプトは Aパターン: GG_Bunkai(GG分解)Bパターン: UltraBarabara のどちらでも作れます(違うのは手順1だけ)。

完成形(実物の書き出し)。最初は元の配置のまま静止し、1秒すぎから下の文字がほどけて風に舞い、すっと消える

目次
仕組み(先にタネ明かし)準備するもの手順0: コンポとテキスト手順1: 文字をバラす(A/B)手順2: 3Dにする手順3: 風の道を描く手順4: 追いかけメモを貼る手順5: 回して、消す手順6: モーションブラー完成チェック動かないときは

仕組み(先にタネ明かし)

文字たちはバラバラに飛んでいるわけではありません。画面には映らない「風の通り道」が1本だけあって、全部の紙切れがその道を追いかけているだけです。1枚1枚が少しずつ「遅れ」たり、道から「ズレ」たりしながら追いかけるので、見た目には複雑な風に見えます。

つまり作るものは2つだけ。「道1本」と「追いかけるルール」。文字1枚ずつに動きを付ける作業は最初から存在しません。この作り方では、文字に打つキーフレームは0個です。

仕組みの図解

全パーツが見えない1本の道を追いかけているだけ

準備するもの

スクリプトの入れ方(共通)
ダウンロードした .jsxbin ファイルを、AEの「ScriptUI Panels」フォルダにコピーします。
Mac: /Applications/Adobe After Effects [バージョン]/Scripts/ScriptUI Panels
Windows: C:\Program Files\Adobe\Adobe After Effects [バージョン]\Support Files\Scripts\ScriptUI Panels
コピーしたらAEを再起動し、上部メニューの「ウィンドウ」の一番下からパネルを開けるようになります。

手順0 コンポとテキストを用意する

操作

  1. 新規コンポジションを作る(Mac: command+N / Win: Ctrl+N)。
    この実物と同じ設定は 1920×1080・30fps・長さ15秒・背景は白
  2. 文字ツール(Mac: command+T / Win: Ctrl+T)でテキストを1本打つ。
    実物は「なにもやりたくない」96px。好きな言葉・サイズでOK
  3. 画面の中央より少し下に置く(下の文字から順に飛び立つ演出のため)

正しくできた画面

白い画面の中央下に文字が1行。レイヤーはまだテキスト1本だけ。

手順0の状態

この状態からスタート(実物の出力フレーム)

手順1 文字をパーツまでバラす(AパターンとBパターン)

なぜやるか:1枚の紙は1枚ずつしか飛ばせないからです。AEでは動かす単位を「レイヤー」と呼びます(絵が載った透明なシートのイメージ)。「な」を丸ごと1枚のシートに載せていたら「な」は塊のままでしか動きません。点やハネまで別々に舞わせたいので、1パーツ=1枚のシートにバラします。ここだけ標準機能ではなく無料スクリプトを使います。手順2からはA/Bどちらでも完全に同じです。

Aパターン:GG_Bunkai(GG分解)

  1. テキストレイヤーをクリックして選択
  2. GG_Bunkaiパネルのまるいモードボタンを何回かクリックして「Divide to path parts(パーツ分解)」にする(ボタンに載せると今のモード名が出ます)
  3. Tのボタン(変換)を押す
GG_Bunkaiパネル

GG_Bunkaiパネル。左からT(変換)・モード切替・プリコンポーズ

GG分解の結果

正しくできた画面:「い Outline」「な Outline」…と1文字から複数レイヤーが生まれる(実測: 9文字→17枚)

Aパターンの注意:デザイン上で線がつながっている「も」「や」は1枚の塊のままになります。そのレイヤーを複製(Mac: command+D / Win: Ctrl+D)して、長方形のマスク(レイヤーのどこを見せるかを決める切り抜き枠)で上・中・下に切り分けてください。切れ目はまっすぐでOK。飛んで回り始めたら切り口は見えません。

Bパターン:UltraBarabara

  1. テキストレイヤーをクリックして選択
  2. パネルのまるいモードボタンを何回かクリックして「分割モード: 筆画分割」にする
  3. Tのボタン(変換)を押す
UltraBarabaraパネル

UltraBarabaraパネル。縦棒のアイコンが筆画分割モード

UltraBarabaraの結果

正しくできた画面:「な Disassembled 1〜5」…(実測: 9文字→28枚)

Bパターンの強み:「筆画分割」は自動で筆画単位まで分けてくれるので、「も」「や」のマスク切り分けが要りません。ちなみに「パーツ分割」モードはAパターンのパーツ分解と同じ結果(実測17枚)になります。

手順2 全部のレイヤーを3Dにする

なぜやるか:紙切れらしさの正体は「裏返り」だからです。ひらひら舞う紙は必ず表と裏を見せながら回っています。それには文字が奥行きの方向にも回れる必要があります。

操作

  1. バラしたレイヤーを全部選択(1枚クリック → Mac: command+A / Win: Ctrl+A
  2. スイッチ列の立方体マークをどれか1つクリック → まとめてONになる

正しくできた画面

3Dスイッチ

立方体の列にチェックが入り、レイヤーを開くと回転が「X回転」「Y回転」「Z回転」の3つに増えている

失敗したら

立方体の列が見当たらないときは F4 キー(スイッチ/モード表示の切り替え)。

手順3 「風の道」を1本描く(ここが主役)

操作

  1. ヌルを2個作る(Mac: command+option+Y / Win: Ctrl+Alt+Y)。ヌル=画面には映らない透明な目印のレイヤー。メニューなら「レイヤー > 新規 > ヌルオブジェクト」
  2. 1個目の名前を「風パス」にして、3DスイッチをON
  3. 2個目の名前を「CTRL」にする(全パーツに開始時刻を伝えるリモコン)
  4. CTRLを選んだまま、エフェクト&プリセットパネルで「スライダー制御」を検索してダブルクリック。エフェクト名を「開始時間」に変更し、スライダーの数値を 1 にする
  5. 風パスを選んで P キー → 位置を表示 → ストップウォッチをクリック(キーフレーム開始)
  6. 時間を動かしながら画面上で風パスをドラッグ:文字列の下 → 大きくうねる → 画面の外へ
  7. キーフレームを全部選択して F9(イージーイーズ=動きの出入りをなめらかに)
名前は一字一句このままに。「風パス」「CTRL」「開始時間」は、あとで貼るコードとつながっています。全角と半角、余計なスペースが定番の事故原因です。

緩急のつくり方:キーフレームは「この時間にここにいてね」という記録ポイント。間隔がせまいと突風、広いとそよ風です。ゆっくり浮かせて→ぐんと走らせて→ふわっと漂わせる。この強弱が入ると一気に「風」になります。

正しくできた画面

風の道のモーションパス

赤い線=風の道(モーションパス)。点がキーフレーム。画面の外まで描いてOK

手順4 「追いかけメモ」を全パーツに貼る

なぜやるか:28枚の紙に1枚ずつ地図を描くのは現実的じゃないからです。代わりに全員へ同じルール=エクスプレッション(数値を自動で計算してくれる小さなメモ書き)を配ります。書けなくて大丈夫、コピペで動きます

操作

  1. どれか1枚のパーツレイヤーを選んで P キー(位置を表示)
  2. ストップウォッチを option を押しながらクリック(Win: Alt+クリック)→ 入力欄が開く
  3. 下のコードを全文そのまま貼り付ける
  4. 貼った「位置」プロパティを選んでコピー(Mac: command+C / Win: Ctrl+C
  5. 残りのパーツレイヤーを全部選択してペースト → 1回のコピペで全員にルールが配れる
seedRandom(index, true);
t0 = thisComp.layer("CTRL").effect("開始時間")("スライダー");
home = transform.position.valueAtTime(0);
dly = (thisComp.height - home[1]) / thisComp.height * 1.2 + random(0, 0.4);
t = time - t0 - dly;
lag = 0.2 + random(0, 1.0);
off = [random(-180, 180), random(-140, 140), random(-180, 180)];
lead = thisComp.layer("風パス").transform.position.valueAtTime(time - lag);
b = ease(t, 0, 1.0, 0, 1);
home + (lead + off - home) * b + (wiggle(1.3, 50) - value) * b;

各行の意味

意味
seedRandom(index, true)レイヤー番号でクジを固定。パーツごとに違う動きになり、再生のたびに変わらない
t0 = CTRL…スライダー飛び始める時刻。リモコン(CTRLの「開始時間」)から読む。今回は1秒
home = …valueAtTime(0)元いた場所(0秒時点の自分の位置)
dly = …*1.2+random(0,0.4)出発時刻。画面の下にいるパーツほど早く飛び立つ+0〜0.4秒のランダム差
t = time - t0 - dly自分が飛び立ってからの経過時間
lag = 0.2+random(0,1.0)「遅れ」。風パスの何秒うしろを追いかけるか(パーツごとにランダム)
off = [x, y, z]「ズレ」。道からどれだけ離れて飛ぶか(±180/±140/±180pxの範囲)
lead = 風パス…(time-lag)追いかける目標=lag秒前の風パスの位置
b = ease(t, 0, 1.0, 0, 1)0→1のスイッチ。飛び立ちの1秒間で「ふわっと」風に乗る
home+(lead+off-home)*b+…元の場所から目標へbの分だけ移動し、wiggle(1.3,50)の空気の揺れを足す

正しくできた画面

エクスプレッションを貼った状態

「エクスプレッション: 位置」の行が現れ、数値が赤くなる(=コードが自動で動かしている印)

再生すると、下の文字から順にほどけて、みんなで同じ道を追いかけていきます。

飛び始めの実物フレーム

実物の途中フレーム。下の文字からほどけていく

手順5 3方向にゆっくり回して、すっと消す

なぜやるか:今のままだと紙が滑って移動しているだけだからです。X・Y・Zの3方向の回転を回しっぱなしにすると「ひらひら」が生まれます。特にY回転=紙の裏返りが質感の主役です。

操作

  1. パーツレイヤーを選んで R キー → 3つの回転が出る
  2. Y回転のストップウォッチを option+クリック(Win: Alt+クリック)して、このコードを貼る
seedRandom(index, true);
t0 = thisComp.layer("CTRL").effect("開始時間")("スライダー");
home = transform.position.valueAtTime(0);
dly = (thisComp.height - home[1]) / thisComp.height * 1.2 + random(0, 0.4);
t = Math.max(time - t0 - dly, 0);
seedRandom(index + 200, true);
t * random(120, 300) + wiggle(0.5, 25) * ease(t, 0, 0.6, 0, 1);

X回転は6行目を seedRandom(index + 100, true); に、最終行を t * random(60, 180) + wiggle(0.6, 18) * ease(t, 0, 0.6, 0, 1); に変えるだけ。
Z回転は6行目を seedRandom(index + 300, true); に、最終行を t * random(40, 120) + wiggle(0.7, 15) * ease(t, 0, 0.6, 0, 1); に変えるだけ。

回転コードの意味

部分意味
Math.max(…, 0)飛び立つ前は t を0のまま止める=まだ飛んでいないのに回り出すのを防ぐ
seedRandom(index+100/200/300)回転専用のクジ。軸ごとに別のランダムを引く
t * random(120, 300)経過時間×速さ=一定スピードで回り続ける(数値は1秒あたりの角度の範囲)
wiggle(0.5, 25)回転のゆらぎ。回りっぱなしに不規則な揺れを重ねる
* ease(t, 0, 0.6, 0, 1)「飛ぶ前は揺らさない」スイッチ。これが無いと冒頭から文字が小さく揺れてしまい、最初が「元の配置のまま」にならない

消え方(不透明度):T キーで不透明度を出して、同じく option(Alt)+クリック。上のコードの最後の2行を linear(t, 3.8, 5.0, 100, 0); の1行に差し替えて貼ります。意味は「飛び立って3.8〜5.0秒のあいだに不透明度を100→0へ=だんだん透明になって消える」。数字を変えれば消えるタイミングを調整できます。

回転3つと不透明度も、1枚に貼ったらプロパティをコピー → 全パーツへペーストです。

正しくできた画面

回転と不透明度が赤くなった状態

X回転・Y回転・Z回転・不透明度の数値がすべて赤くなっていればOK

手順6 モーションブラーで仕上げる

なぜやるか:速く動くものはブレて見えるのが本物だからです(写真の被写体ブレと同じ現象)。

操作

  1. スイッチ列の丸が3つ重なったマーク=モーションブラーを全パーツでON
  2. タイムライン上部にある同じマーク(親スイッチ)もON
モーションブラーの親スイッチ

赤枠が親スイッチ。押し忘れが定番の失敗

正しくできた画面

ブラー付きの飛行フレーム

突風の区間で紙切れに残像が付き、スピード感が本物になる(実物フレーム)

完成チェックリスト

最大のコツ:キーフレームを打ったのは風パスの位置だけ。文字には1個も打っていません。修正も風パスのキーフレームを触るだけで、全パーツが勝手に付いてきます。道のキーフレームを増やせば、画面を何往復も駆け抜けたり、先に飛んだ文字に後発が合流したりも同じ仕組みのまま作れます。
応用の図解

道を伸ばせば、どこまでも飛ばせる

動かないときは(よくある3つ)

症状原因と直し方
コードが赤いエラーになるほぼ名前の不一致。「CTRL」「開始時間」「風パス」がレイヤー名・エフェクト名と一字一句同じか、全角半角・余計なスペースを確認
いつまでも飛ばないCTRLの「開始時間」の数値が大きすぎる。1にすれば1秒から飛ぶ
全員が同時に飛ぶ/最初から揺れるコード1行目の seedRandom の行、またはwiggleのうしろの ease が抜けている

制作・検証: 2026-08-30/After Effects 2026(26.3)・GG_Bunkai・UltraBarabara 1.0.1で実測。掲載画像・動画はすべて実際に組んだプロジェクトの実物です。